副業禁止の会社で3年間こっそり副業した末路
筆者は30代前半、副業禁止の中堅メーカーに勤めながら、週末にWebライティングの仕事を受けていた。月の副収入は8万〜12万円。本業の手取り28万円に上乗せできるのは正直ありがたかった。
しかし、住民税の特別徴収額が前年より明らかに増えたことを経理担当に指摘された。「何か別の収入がありますか?」という一言で、心臓が止まりそうになったのを今でも覚えている。結果的に懲戒処分には至らなかったものの、上司との面談で「信頼を損なった」と言われ、その後の評価に影響が出た。
この経験から、副業をしたいなら最初から副業OKの会社に身を置くべきだ、と痛感した。転職活動を経て、現在は副業を公式に認めているIT企業に在籍している。堂々と副業できる環境がどれほど精神的に楽か。それは経験した者にしかわからない。
副業解禁の流れ:2026年の最新データ
厚生労働省が「モデル就業規則」から副業禁止条項を削除したのは2018年。それから8年が経過し、副業を認める企業は確実に増えている。
リクルートの調査(2025年12月発表)によると、従業員100人以上の企業のうち副業を「全面的に認めている」のは23.7%、「条件付きで認めている」が31.2%。合計すると54.9%の企業が何らかの形で副業を容認している計算だ。2020年時点では同指標が32.1%だったことを考えると、5年間で約23ポイント上昇している。
ただし業界による差は大きい。IT・Web業界では副業容認率が78%に達する一方、金融・保険業界では29%、製造業では38%にとどまる。自分が転職を考えている業界の傾向を事前に把握しておくことが重要だ。
副業OKの会社に転職する5つのメリット
メリット1:収入の柱が複数になり、経済的な安定性が増す
本業一本に依存する状態は、リストラや業績悪化のリスクに対して脆弱だ。副業で月5万〜10万円の収入があれば、万が一本業を失っても生活を維持できる期間が伸びる。
メリット2:本業では得られないスキルが身につく
筆者の場合、メーカー勤務時代にはまったく縁のなかったWebマーケティングやSEOの知識を、副業のライティングを通じて習得した。このスキルが現在の転職先でも評価され、マーケティング部門との横断プロジェクトに参加する機会を得ている。
メリット3:将来の独立・起業の準備ができる
副業OKの環境なら、いきなり退職して起業するリスクを取らずに済む。本業の収入を確保しながら、副業で事業の種を育てられる。実際、筆者の周囲で独立に成功した人の8割以上が「副業から段階的に移行した」パターンだった。
メリット4:精神的な余裕が生まれる
「この会社を辞めたら食べていけない」という恐怖は、人の判断力を鈍らせる。副業収入という選択肢があるだけで、本業でも思い切った提案や交渉ができるようになる。
メリット5:人脈が本業の外に広がる
副業を通じて出会うクライアントや協業者は、本業の同僚とはまったく異なる業界・職種の人々だ。この人脈が予想外のビジネスチャンスにつながることは珍しくない。
副業OKの会社を見つける具体的な方法
方法1:求人サイトの「副業OK」フィルターを使う
2026年現在、主要な転職サイトのほとんどが「副業・兼業OK」のフィルター機能を搭載している。doda、リクナビNEXT、Green、Wantedlyの4サイトで確認したところ、「副業OK」のフィルターで絞り込める求人数は以下の通りだった。
- doda:約18,400件
- リクナビNEXT:約12,800件
- Green:約9,200件
- Wantedly:約15,600件
※2026年3月時点の概算値。
ただし注意点がある。「副業OK」と表記されていても、実態としては「届出制で、競合他社での就業は不可」「本業に支障が出ないと判断された場合のみ許可」など、条件が付くケースが大半だ。求人票の文言だけで判断せず、面接時に具体的な運用ルールを確認すべきだろう。
方法2:副業解禁で知られる企業を直接狙う
業界で「副業に積極的」と知られている企業は存在する。代表的なところを挙げると以下の通りだ。
| 企業名 | 業界 | 副業ポリシーの特徴 |
|---|---|---|
| サイボウズ | IT | 「100人100通りの働き方」を掲げ、届出制で幅広い副業を許可 |
| メルカリ | IT | 競合以外であれば原則自由。社内で副業事例を共有する文化 |
| ソフトバンク | 通信 | 2017年から解禁。届出制だが承認率は高い |
| ロート製薬 | 製薬 | 「社外チャレンジワーク」制度で副業を奨励 |
| ユニリーバ | 消費財 | WAA(Work from Anywhere and Anytime)の一環として副業容認 |
| リクルート | 人材 | 古くから副業に寛容。社員の副業率は社内で公開されている |
方法3:転職エージェントに「副業OK」を条件として伝える
エージェントは求人票には載らない社内の実態を把握しているケースが多い。「副業OKと書いてあるが実際には誰もやっていない会社」と「副業を推奨し、社内で副業の成果を発表する場がある会社」では、体験がまったく異なる。エージェントに「副業の実態」を必ず確認してもらおう。
方法4:LinkedInやXで副業している社員を探す
実際にその会社で副業をしている人がSNSで情報発信していれば、リアルな実態がわかる。DM等でコンタクトを取り、社内の空気感を聞くのは有効な手段だ。
面接で「副業したい」とどう伝えるべきか
ここが転職活動の山場になる。「副業OKだから応募しました」とストレートに言うのは、マイナス印象を与えるリスクがある。面接官の立場からすれば「本業へのコミットメントが低いのでは」と感じるのは自然な反応だ。
筆者が実際に使って効果があった伝え方はこうだ。
「前職では業務外の時間を活用してWebマーケティングのスキルを独学で磨いてきました。御社では本業に全力で取り組みつつ、業務外で培ったスキルも活かして貢献の幅を広げたいと考えています。御社が副業を認めていらっしゃる点は、自己成長を大切にする企業文化の表れだと感じ、共感しました」
ポイントは3つある。
- 副業が目的ではなく、自己成長の延長線上にあると位置づける
- 本業へのコミットメントを明言する
- 副業容認を企業文化として肯定的に評価する
転職後に確認すべき就業規則のチェックポイント
内定を承諾する前に、就業規則の副業関連条項を必ず確認すべきだ。以下の5項目は最低限チェックしてほしい。
- 届出制か許可制か:届出制なら報告すれば基本的にOK。許可制は上司の承認が必要で、却下される可能性がある
- 競業避止義務の範囲:同業他社での副業禁止はよくあるが、「同業」の定義が広すぎないか確認する
- 労働時間の通算ルール:法律上、副業先の労働時間は本業と通算される。36協定違反にならないよう、時間管理のルールを把握する
- 情報管理義務:本業の機密情報を副業に持ち出さないのは当然だが、具体的にどこまでがNGかを確認する
- 収入報告義務の有無:副業収入を会社に報告する義務があるかどうか。ある場合は住民税の処理にも影響する
副業OKの会社に転職して2年、筆者の現在地
副業禁止の会社から副業OKの会社に移って2年が経過した。本業の年収は転職時に約40万円下がったが、副業収入は月平均15万円まで成長した。年間ベースで見ると、前職より約140万円のプラスだ。
それ以上に大きいのは精神的な変化だった。「会社に隠れて」やっていた頃の後ろめたさがゼロになったことで、副業に使う時間の質が格段に上がった。堂々とブログを書き、クライアントとオンラインミーティングをし、確定申告も正々堂々と行っている。
もちろんデメリットもある。本業と副業の合計労働時間は週55〜60時間になることもあり、体力的にきつい時期はある。家族との時間が減るリスクも常に意識している。副業OKの会社に転職すれば全てが解決するわけではなく、自己管理能力が問われる点は強調しておきたい。
まとめ:副業の自由を手に入れるための転職戦略
副業OKの会社に転職することは、単なる「許可」を得る行為ではない。自分のキャリアを複線化し、経済的な安定性と精神的な余裕を同時に手に入れる戦略的な判断だ。
求人票の「副業OK」表記を鵜呑みにせず、面接やエージェントを通じて実態を確かめること。就業規則の細部まで目を通すこと。そして入社後は本業で結果を出すことを最優先にすること。この3つを守れば、副業OKの転職は高い確率で成功する。
迷っている人は、まず転職サイトで「副業OK」フィルターをかけてみるところから始めてほしい。表示される求人の数を見れば、選択肢の広さに気づくはずだ。





コメント