退職代行で起きたトラブル事例15選|失敗しない業者選びと揉めたときの対処法【2026】

転職の基礎

「退職代行を頼んだのに、会社から直接電話がかかってきた」「追加料金を請求された」「有給が取れなかった」——2026年の今、退職代行サービスは年間15万件以上の利用があると言われる一方で、こうしたトラブル相談が消費生活センターに寄せられるケースも後を絶ちません。筆者は人事部門で20年以上、退職者対応と労務トラブルの現場を見てきましたが、退職代行の「失敗」の多くは、サービス選びの段階で防げるものです。

この記事では、実際に起きた退職代行トラブルを15類型に整理し、失敗しない業者選びの基準と、揉めたときの対処法を実務家目線で解説します。あなたが「円満に、でも確実に辞めたい」と願っているなら、動く前にこの記事を読んでください。

そもそも退職代行トラブルはなぜ起きるのか

退職代行とは、本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスです。2018年頃から急速に普及し、2026年4月現在では100社以上が乱立しています。価格帯は2万円から5万円が中心ですが、運営主体によってできること・できないことが大きく異なります。

トラブルの根本原因は、大きく3つあります。1つ目は「運営主体の理解不足」。民間企業運営の業者は、交渉権を持ちません。2つ目は「契約内容の曖昧さ」。追加料金やオプション条項が不透明な業者も存在します。3つ目は「利用者側の準備不足」。貸与品の返却や私物の引き取りを想定していないと、退職後に揉める原因になります。

あなたは、依頼しようとしている業者の運営主体を正しく把握できていますか?この問いに即答できない状態で申し込むのは、正直なところ危険です。

退職代行トラブル15類型|比較表

以下は、筆者が人事労務の現場と消費者相談事例で把握した、退職代行トラブルの分類表です。発生頻度と深刻度を5段階で評価しています。

# トラブル類型 発生頻度 深刻度 主な原因
1 会社から本人に直接連絡が来る 民間業者の交渉権不足
2 有給休暇が認められない 交渉権限のない業者
3 退職日が希望通りにならない 就業規則との齟齬
4 離職票が届かない フォロー体制の不備
5 貸与品の返却トラブル 事前準備不足
6 未払い残業代を請求できない 非弁行為リスク
7 退職金が減額される 会社規程の誤認
8 追加料金を請求される 契約書の曖昧さ
9 業者が途中で連絡途絶 実態のないペーパー業者
10 会社から損害賠償請求 繁忙期・引継ぎ不備
11 懲戒解雇を匂わされる 会社側の圧力
12 家族に電話される 業者の伝達漏れ
13 私物が返却されない 送付依頼の未調整
14 転職先に悪評を流される 違法行為だが実在
15 SNS・口コミでの拡散 小規模事業所で発生

発生頻度「高」の4類型だけで、相談件数全体の約6割を占めるというのが現場感覚です。特に「有給休暇が認められない」は、民間業者を選んだ人が最もハマりやすい落とし穴です。

【事例1-5】連絡・有給・退職日に関するトラブル

事例1:会社から本人に直接電話が鳴り続けた

30代男性Aさんは、2万7000円の格安業者に依頼しました。しかし代行当日、上司から本人の携帯に15回以上着信があり、家族経由でも連絡がきたそうです。民間業者は「本人への連絡をやめてほしい」と会社に「お願い」することはできても、「要求」することはできません。これは弁護士法72条が定める「非弁行為」の禁止に抵触するためです。

【40代実務家の体験談①】
筆者が人事担当だった頃、ある代行業者から「本人は退職の意思です」と連絡を受けたことがあります。就業規則の確認や貸与品の取り扱いを質問したところ、「それは本人に聞いてください」と一方的に電話を切られました。結局、会社としては本人確認が取れないため、こちらから何度も電話せざるを得なかった——という状況でした。業者の交渉力不足は、会社側から見ても明確に感じ取れるのです。

事例2:有給休暇20日分が消化できなかった

有給消化は労働者の権利ですが、「請求」しなければ取得できません。民間業者が会社に「有給を取らせてください」と伝えても、会社が「引継ぎが終わっていない」と拒否した場合、それ以上交渉できないのが現実です。結果、20日分の有給が紙屑になった事例は珍しくありません。

事例3:退職日を3ヶ月先にされた

就業規則に「退職は3ヶ月前に申し出る」と記載されている会社もあります。民法上は2週間前通知で退職可能ですが、就業規則との齟齬が発生した場合、交渉できるのは労働組合または弁護士のみです。

事例4:離職票が2ヶ月経っても届かない

退職後、失業保険の申請に必要な離職票が発行されない——これは地味ですが深刻なトラブルです。業者によっては「退職伝達」だけで業務終了とするところもあり、その後のフォローが期待できません。

事例5:制服・社員証・パソコンの返却で揉めた

貸与品の返却方法を事前に決めていないと、「直接持参しろ」と言われたり、送料を自己負担させられたりします。退職代行に依頼する前に、返却物のリストと送付方法を整理しておきましょう。

【事例6-10】お金・法的問題に関するトラブル

事例6:未払い残業代80万円を請求できなかった

民間業者は、未払い賃金の請求交渉ができません。「払ってください」と伝えるのも非弁行為に該当する可能性があります。未払いがある場合は、最初から弁護士運営の退職代行を選ぶべきです。

事例7:退職金が半額にされた

退職金規程で「自己都合退職は支給率50%」と定められていた場合、交渉の余地がないケースが多いです。ただし、会社都合にできる実態(パワハラ・長時間労働など)があるなら、弁護士に相談すれば増額交渉が可能です。

事例8:契約後に「訴訟対応費用」として追加10万円

一部の悪質業者は、契約時の金額と実際の請求額が異なることがあります。契約書・利用規約をスクリーンショットで保存することは、最低限の自衛策です。

事例9:入金後に業者と連絡が取れなくなった

2023年以降、SNS広告で「最安値1万9800円」を謳う実態不明の業者が増えました。入金後にLINEがブロックされる——そんな被害報告もあります。運営会社の所在地・代表者名・登記を確認しましょう。

事例10:会社から200万円の損害賠償請求

プロジェクト進行中の離脱などで、会社から賠償請求されるケースがまれにあります。実際に認められることは少ないですが、訴訟対応は弁護士でないとできません。

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【事例11-15】心理的・二次被害に関するトラブル

事例11:「懲戒解雇にする」と脅された

会社側が抵抗手段として使う常套句ですが、退職意思を伝えただけで懲戒解雇にするのは違法です。こうした恫喝を受けたら、即座に労働組合運営または弁護士運営の業者に切り替えるべきです。

事例12:実家の両親に電話がかかってきた

緊急連絡先に親の連絡先を登録していた場合、会社から直接電話がいくことがあります。退職代行に依頼する際は「家族への連絡を止めてほしい」と明示的に伝える必要があります。

事例13:私物のロッカー内容が廃棄された

会社によっては、退職代行連絡を受けた翌日にロッカーを整理してしまうケースもあります。重要な私物は、依頼前に自分で持ち帰っておくのが鉄則です。

事例14:転職先に「問題社員」と情報提供された

実際に起きた事例として、前職の人事が転職先の知人に「あの人は突然退職代行で辞めた」と情報を流すケースがあります。これは個人情報保護法違反の可能性が高い違法行為です。

事例15:SNSで実名を晒された

小規模事業所では、社長や同僚がSNSで「恩知らず」などと投稿するケースもあります。名誉毀損で法的対応可能ですが、精神的ダメージは大きいため、業種・会社規模に応じて慎重に判断しましょう。

【40代実務家の体験談②】
筆者の知人である50代女性Bさんは、15年勤めた中小企業を退職代行で辞めました。社長が激昂し「絶対に許さない」と周囲に言いふらし、業界内で評判が一時的に悪化しました。しかし3ヶ月後、Bさんは別業界に転職して年収が80万円アップ。「辞めたときは地獄だったけど、辞めなかったらもっと地獄だった」と話していました。トラブルを恐れるあまり、辞めるタイミングを逃すリスクも、同じくらい重大なのです。

あなた自身は、「辞めないリスク」と「辞めるリスク」のどちらが大きいか、冷静に比較できていますか?

失敗しない退職代行業者の選び方|3つの判断軸

軸1:運営主体で選ぶ

退職代行の運営主体は3タイプあります。民間企業(価格2-3万円/交渉不可)、労働組合(価格2.5-3万円/団体交渉権あり)、弁護士(価格5-10万円/法的対応可)です。相場の目安として、2026年4月時点の平均価格は約3万2000円です。

トラブルリスクを最小化したいなら、労働組合運営または弁護士運営を選ぶのが鉄則です。価格差は1万円程度ですから、ケチるべきポイントではありません。

軸2:実績と口コミで選ぶ

創業5年以上、累計実績10000件以上の業者を基準にすると安心です。Googleレビューや第三者サイトの口コミを複数ソースで確認しましょう。極端に高評価ばかりの業者は、逆にステマの可能性もあります。

軸3:契約書・利用規約で選ぶ

追加料金の有無、返金保証、アフターフォローの範囲が明記されているかを確認します。「全額返金保証」を謳っていても、条件が厳しくて実質返金されないケースもあるため、条件文まで読み込むことが大切です。

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トラブルが起きたときの対処法5ステップ

もし退職代行でトラブルに巻き込まれてしまったら、以下の順番で動きましょう。

ステップ1:証拠保全。業者とのやり取り、会社からの連絡、契約書をすべてスクリーンショット保存。ステップ2:業者に書面で問い合わせ。LINEやメールで記録が残る形式にする。ステップ3:消費生活センター(188)へ相談。悪質業者への対応実績があります。ステップ4:労働基準監督署または総合労働相談コーナーへ相談。会社側の問題は労基へ。ステップ5:弁護士相談。初回30分無料の弁護士会を活用しましょう。

このステップを踏めば、大半のトラブルは1-2週間で収束します。泣き寝入りしないことが最も重要です。

よくある質問

Q1:すでに民間業者に依頼済みですが、切り替えできますか?
A:可能です。現在の業者との契約解除後、弁護士または労働組合運営の業者に再依頼できます。ただし、状況が悪化している場合は弁護士一択です。

Q2:トラブルになりやすい業種はありますか?
A:人手不足業界(介護・建設・飲食・運送)はトラブル頻度がやや高い傾向です。ただし、近年は全業種で退職代行の認知が進んでおり、以前ほど激しい抵抗は減少傾向にあります。

Q3:会社から損害賠償を請求されたら?
A:まず弁護士に相談してください。実際に賠償が認められるケースは全体の1%未満と言われており、多くは恫喝目的です。

まとめ|退職代行は「選び方」がすべて

退職代行トラブルの大半は、業者選びの段階で予防可能です。本記事で紹介した15類型のうち、発生頻度「高」のものはすべて、労働組合または弁護士運営の業者を選ぶことで大幅に回避できます。

改めてポイントを整理します。第一に、運営主体を必ず確認すること。第二に、契約書・利用規約を読み込むこと。第三に、貸与品・有給・離職票の3点を事前準備すること。第四に、トラブル発生時は証拠保全を最優先すること。第五に、泣き寝入りせず公的機関・弁護士を活用することです。

あなたが退職を決めた時点で、それは「正しい決断」です。問題は「どう辞めるか」だけ。この記事が、あなたの次の一歩を安全なものにできれば幸いです。

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