内定をもらったのに辞退しなきゃいけない。めちゃくちゃ気まずいですよね。
「せっかく選考に時間を割いてもらったのに」「怒られたらどうしよう」「業界で悪い噂が立たないか」。考えるだけで胃がキリキリする。その気持ち、痛いほどわかります。
僕は過去に3回、内定辞退を経験しています。1回目はメールだけで済ませようとして採用担当者から電話がかかってきて、声のトーンが明らかに怒っていた。あの冷や汗は今でも覚えています。2回目は反省を活かして電話で丁寧に伝えたら、「お気持ちはわかります。今後のご活躍をお祈りしています」と温かい言葉をもらえた。伝え方ひとつでこうも反応が変わるのかと実感した瞬間でした。
2026年4月時点では転職市場が活発で、複数内定をもらう人も珍しくない。doda調べでは、転職活動者の約38%が2社以上から内定を得ているというデータもある。だからこそ「断り方」を知っておくことが、社会人としてのマナーであり、自分自身のキャリアを守る行為でもあるのです。
いつまでに伝えるべき?── スピードが最大の誠意
辞退を決めたらその日のうちに連絡するのがベスト。遅くとも3営業日以内です。
なぜか。企業は内定を出した瞬間から受け入れ準備を始めます。デスクの確保、PCの手配、研修プログラムの調整、配属先チームへの連絡。大企業なら入社に伴うシステム登録や名刺の発注まで動いていることもある。辞退の連絡が遅れるほど、これらの準備が無駄になる。
僕が2回目に辞退したとき、決めてから2時間後に電話しました。担当者の反応は「早めに教えていただけて助かります。次の候補者に声をかける時間ができました」。スピードそのものが誠意になるんだと、あのとき学びましたね。
「言いにくいから後にしよう」と先延ばしにしたい気持ち、わかります。でも先延ばしにするほど状況は悪化すると感じませんか?
電話とメール、どっちがいい?
連絡手段の使い分け表
| 状況 | 推奨する方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 直接やり取り(エージェントなし) | 電話 → メール | 電話で誠意を、メールで記録を |
| エージェント経由 | エージェントに連絡 | エージェントが間に入って調整 |
| 担当者が電話に出ない | メールのみ(折り返し待ち) | 着信履歴+メールで対応 |
| 深夜・早朝に決断 | 翌朝9時に電話 | 非常識な時間帯は避ける |
基本は「電話 → メールでフォロー」の二段構えだ。電話だけだと記録が残らないし、メールだけだと誠意が伝わりにくい。両方セットで対応するのがベストプラクティスだと考えている。
エージェント経由の場合はシンプル。エージェントの担当者に「内定辞退したい」と連絡すればOK。むしろ自分で企業に直接連絡すると混乱を招くことがあるので、必ずエージェント経由で行うこと。
電話の具体的なスクリプト
僕は電話の前に毎回セリフを紙に書き出して読み上げていました。緊張すると頭が真っ白になるので、これは本当におすすめです。
基本スクリプト
「お忙しいところ恐れ入ります。先日内定のご連絡をいただきました○○と申します。△△様はいらっしゃいますでしょうか。」
(担当者に繋がったら)
「先日は内定のご連絡をいただき、誠にありがとうございました。選考を通じて御社の事業内容や社風に大変魅力を感じておりました。大変悩んだのですが、今回は内定を辞退させていただきたくご連絡いたしました。他社との比較検討の結果、キャリアの方向性により合致する企業に入社することを決めました。貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり大変申し訳ございません。」
ポイントは3つ
感謝を最初に伝える。 選考にかけてくれた時間と労力への感謝は必ず言葉にする。これがあるかないかで印象がまったく変わる。
理由は簡潔に。 「他社のほうが自分のキャリア方向に合っていた」程度で十分。細かい比較ポイントを言う必要はない。
余計な嘘をつかない。 「家族の介護で」「体調を崩して」などの嘘は、後でバレたときに信頼を完全に失う。正直に、でも角が立たない言い方を選ぶのが大切だ。
メール例文 ── そのまま使えるテンプレート
電話の後に送るフォローメールのテンプレートです。
件名:内定辞退のご連絡(氏名)
株式会社○○
人事部 △△様
お世話になっております。
先日、内定のご連絡をいただきました○○です。
先ほどお電話にてお伝えいたしましたが、
改めてメールでもご連絡させていただきます。
このたびは内定という貴重な機会をいただき、
誠にありがとうございました。
選考を通じて御社の事業ビジョンや職場の雰囲気について
深くお聞かせいただき、大変魅力的に感じておりました。
慎重に検討を重ねた結果、
自身のキャリアの方向性を踏まえ、
今回の内定を辞退させていただきたく存じます。
面接官の皆様に貴重なお時間をいただいたにもかかわらず、
このようなご連絡となりますこと、
心よりお詫び申し上げます。
末筆ながら、御社のますますのご発展を
お祈り申し上げます。
○○(氏名)
電話番号:xxx-xxxx-xxxx
メール:xxx@xxx.com
このテンプレートをそのまま使えば、マナー面で問題になることはまずない。
承諾後でも辞退できる?── 法律と道義のバランス
法律上は可能です。民法627条により、2週間前の申し出で労働契約を解約できる。入社前であれば、内定承諾書に法的拘束力はないというのが通説だ。
ただし道義的なリスクは大きい。企業側はすでに他の候補者を断り、入社準備を本格的に進めている段階だ。僕の知人(IT業界)は承諾後辞退で業界内の評判を落とし、その後の転職活動で「あの人は承諾後に辞退した」という情報が回ってきたケースがあった。IT業界は狭い。
どうしても承諾後に辞退する必要がある場合は、以下の手順を踏んでほしい。
- 決断したらその日のうちに電話(メールではなく必ず電話)
- 誠心誠意謝罪する(言い訳をしない)
- メールで改めてお詫びと経緯を記録に残す
- エージェント経由なら、エージェントにも即座に報告
承諾後辞退は「最終手段」であり、できる限り承諾前に意思決定を完了させるべきだ。
やってはいけない5つのこと
1. 連絡なしのフェードアウト。 業界は想像以上に狭い。5年後に同じ企業の人と仕事をする可能性は十分にある。音信不通は最悪の対応だ。
2. 他社の条件を具体的に言う。 「年収が50万高かった」「リモートワークが週4日だった」と言えば、相手を不快にするだけ。「キャリアの方向性」という抽象的な表現にとどめるのが大人の対応だ。
3. SNSに書く。 「○○社の内定蹴りました」のような投稿は論外。採用担当者がSNSをチェックしている確率は高い。
4. 辞退理由を長々と説明する。 言い訳がましくなると逆効果。簡潔に、しかし丁寧に。
5. 内定辞退の電話をメール1本で済ませる。 1回目の僕がまさにこれだった。電話がかかってきて「メールだけですか?」と言われたあの瞬間のバツの悪さは忘れられない。
内定辞退後の関係性 ── 実は終わりじゃない
内定辞退は気が重い。でも丁寧に対応すれば関係は壊れません。
僕が辞退した3社のうち2社の採用担当者とは、今でもLinkedInで繋がっています。1社の方とは年に1回くらい情報交換のランチをしている。「あのとき丁寧に断ってくれたので印象が良かった」と言われたときは、マナーの大切さを痛感した。
転職市場は循環する。今日断った企業に、5年後に転職する可能性だってある。「断り方」が未来の自分を助けることもあるのだと感じませんか?
ビジネスの世界では、断り方にこそ人間性が出る。この記事が、内定辞退という気まずい場面を乗り越える助けになれば幸いです。





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